荘厳な自然の息吹を感じ、いくつもの人のぬくもりを感じる曽爾村。郷土への想いを大切に育てる人々と、ここでしか味わえない「暮らすような旅」を。
東京から約4時間、大阪から約1時間50分、奈良から約1時間で訪れる事ができ、奥大和を探求したい旅行者に人気の秘境、曽爾村。清らかな曽爾川の流域に開けるこの村は、奈良県の東北端、三重県境に隣接する小さな農山村です。
村の大半を占める山地は室生火山群といわれ、1500万年前の活動を経て、美しい1000m級の山々と谷間盆地が形成され、その美景は室生赤目青山国定公園に指定されています。
曽爾村は「ぬるべの郷」とよばれ、漆塗り発祥の地であり、神話や伝説など数々の物語が残されています。NPO法人「日本で最も美しい村」連合に承認され、現在も日本の原風景が残る美しい里山です。美しい曽爾川は夏には天然の蛍、秋には奥香落渓の紅葉を楽しむなど、ガイドブックに載っていない人々の暮らしを是非、味わってください。
曽爾高原
広さ約40㌶の雄大な高原一帯は、日本300名山の一つ倶留尊山の麓に位置し、室生赤目青山国定公園に指定。年間50~60万人が訪れ、近年は外国人観光客も多くが足を運んでいます。
夏には新緑の絨毯が一面に広がり、秋には稲穂が銀色に輝き、夕方は夕日に映えて金色に染まります。「お亀伝説」が残る池があり、湿原特有の希少な植物も見られ曽爾高原は、かつては茅葺屋根の材料を育てる萱場でしたが、いまは村人の保全活動により維持され、、春先には山焼きによる高原一面が真っ黒に焼き払われる景色も圧巻です。
泉質No.1の温泉「お亀の湯」
2004年にオープン。2012年に「湯めぐり番付」で総合1位を獲得、2017~2018年に全202ヵ所中、泉質ランキングで1位となり、お客様からの人気投票で常に上位にランクイン。ナトリウム炭酸水素塩温泉は、美容液のようなトロっとした泉質で、お肌がしっとりする美人の湯といわれています。
露天風呂は男女週替わり制の「石の浴室」と「木の浴室」の2種類を楽しむことが出来、それぞれの露天風呂では鎧岳、兜岳、曽爾高原などのパノラマを一望できます。夜には満点の星空も。
曽爾の獅子舞
雄略天皇の御代(西暦457年)からあるという由緒ある古社で、毎年10月に行われる8大字の氏神の秋祭り。1718年に大字長野の人たちが伊勢に行き、伊勢太神楽を習ってきたことが起源。以来、約300年間口承だけで受け継がれてきました。
奉舞、神前舞、悪魔払、参神楽、獅子踊り、接ぎ獅子、荒舞の一連の曽爾の獅子舞は、種類の豊富さと質が高く評価され、昭和54年に奈良県無形民俗文化財に指定。人身お供えの名残といわれる「すこ」もこの時期に奉納され、人々の暮らしを守ってきました。
漆部の郷
いにしえの時代より「漆部の郷」と呼ばれている曽爾村は、日本で二番目に古い平安時代の大辞典「倭名類聚抄」や「伊呂波字類抄」に引くところ、倭武皇子が曽爾の郷に漆部造(漆の生産拠点)を設置し、これが日本の伝統工芸となるウルシ塗りの始まりといわれています。
かつては塩井という集落に漆が自生していましたが、杉檜の林業や農業が盛んになると、漆が伐採され漆かき職人や塗師が減少していき、漆産業も衰退していきました。この歴史ある伝統の地の復活を目指し、2005年に漆塗り文化と技術の伝承拠点として地元有志が立ち上がり、曽爾村産のうるしの育成、植栽をはじめとする漆かきを開始し、漆工芸品の制作に取り組んでいます。SDGs(持続可能な開発目標)の活動としても認定されています。現在は、曽爾村森林組合と村が協定を組み、林業のプロの観点からも漆の植樹・育林活動を担っています。
伊勢本街道
大阪、京都などから奈良を経て、伊勢に向かう道を伊勢本街道と言います。江戸時代になると天下泰平となり一般庶民の伊勢参りが盛んとなり、大阪方面から2日目の宿泊地として曽爾村もかつては伊勢参りの客を迎え入れる宿場町でした。奥宇陀で一番栄え「奥宇陀の大阪や」といわれ、人形浄瑠璃芝居が行われ三味線の音が聞こえていました。
現在はめだかの飼育が盛んとなり、40種類を越す品種が揃い、飼育のノウハウなどめだか愛好家の方が集う事でも知られ「めだか街道」と名付けられています。
人々の暮らし
曽爾村は、平均気温13℃と年間を通して朝晩が涼しい高原冷涼多雨地帯。一般的な農地よりも標高が高く、害虫による被害が少ないことや寒暖差で生まれる甘味度の高い高原野菜や米がブランド化され、次々と新しい地域産業がうまれています。
一方で、曽爾村の歴史は古く、大和の中でももっとも古い縄文文化の遺跡として、また神話伝承の舞台として知られ
ています。昔から伝わる村民の営みや知恵に加え、現在の資源を活かした地産地消の特産品づくりを通して、古き良き日本の暮らしをご体験ください。